部活動における問題点5つ|生徒側・教員側・学校側の悩みなども解説

初回公開日:2021年06月05日

更新日:2021年06月05日

記載されている内容は2021年06月05日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

部活動は本来生徒が自主的・自発的に行う活動だとされています。しかし現状ではほとんどの学校で部活動が行われ、その活動が長時間に及ぶことから教員や生徒への負担が大きくなっていることが問題になっています。国や自治体でもそれらを問題視しており様々な対応を行っています。

部活動における問題点5つ|生徒側・教員側・学校側の悩みなども解説

各国の中高生の部活動事情

日本では部活動がとても盛んで、全国規模で大会が行われることも多いです。また、多くの場合は入学して1つの部活に所属したら、3年生になって退部や引退するまで、同じ部に所属し続けます。

中高生のスポーツ環境は国によって違い、地域のスポーツクラブ等が中心になっている国や、学校で部活動が行われる国、スポーツクラブと部活動両方がある国など様々あります。

しかし、日本のように大規模かつ熱心に行われている国はないと言われています。

アメリカの場合

アメリカにも部活動はありますが、日本のような部活動とは少し形が違います。

アメリカではスポーツをシーズン制で行います。秋、冬、春それぞれのシーズンごとにそれぞれ別のスポーツに取り組む、というのがアメリカの高校でのスポーツ活動です。

そのため、特定の部に所属するという考え方はなく、部ごとにレベルに合わせたチーム分けをされるので、自分の経験やレベルに合わせてスポーツを楽しむことができます。

イギリスの場合

イギリスの場合、スポーツ自体は盛んですが、日本のような部活動はありません。

放課後に公共のスポーツ施設を利用したりしてスポーツを楽しんだり、私立の学校がスポーツ施設を充実させたりすることはありますが、全体として日本のように部活動が盛んではないと言われています。

中国の場合

中国の場合、地域や学校によって違いはありますが、部活自体が無い学校が多いなど、日本のように部活動に力を入れていません。

中国では、学生は放課後すぐに帰宅し、勉強するかもしくは学校外のスポーツクラブを利用することが多いです。

韓国の場合

韓国の場合、部活動はほとんどありません。運動系の部活がおかれていても、いわゆるエリートスポーツ選手を育てるためのものがほとんどです。

一般の生徒は放課後家で勉強をしたり塾に行ったりすることが多く、スポーツする際は学校の運動部に所属するのではなく、スポーツクラブなどを利用することが多い傾向にあります。

日本国内の部活動の現状

平成29年にスポーツ庁がまとめた「運動部の活動の現状について」によると、中学校の運動部活動の活動時間は、平日で2時間程度、休日で3時間程度です。

また、1週間の間に休養日が無い中学校の割合は22.4%であり、1ヶ月の間に土日の休養日を設けていない中学校の割合は42.6%にものぼります。

顧問が競技経験が無い、もしくは保健体育の担当で無い教師である割合は中学校では45.9%です。中学校の教員が土日に部活動に関わる時間は10年前の約2倍になっています。

出典:運動部活動の現状について|スポーツ庁
参照:https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/013_index/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2017/08/17/1386194_02.pdf

学習指導要領において部活動について明記されていることとは

学習指導要領において、部活動は「生徒の自主的、自発的に行われる」ものだと明記されています。

部活動は、学習指導要領においては教育課程外の活動だとされており、学校が設置、運営する義務はありません。しかし、多様な学びができる教育的意義が大きいことから、ほとんどの学校で教育活動の一環として実施されています。

また、平成29年3月に告示された中学校学習指導要領では、部活動は学校教育の一環として教育課程との関連に留意することや、地域の人々の協力や社会教育施設などとの連携で持続可能な運営ができるよう工夫することが求められています。

出典:中学校学習指導要領|文部科学省
参照:https://www.mext.go.jp/content/1413522_002.pdf

部活動への加入割合

部活動は本来自主的な活動であり、加入はあくまで任意です。しかし、実際にはすべての生徒に何らかの部活動へ加入するよう求めている中学校も少なくありません。

そのため、教員全員に部活動の顧問になるよう定めている中学校が全体の9割近くになり、勤務時間の長さなどが教員の悩みとなっています。

出典:運動部活動の現状について|スポーツ庁
参照:https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/013_index/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2017/08/17/1386194_02.pdf

中学生の加入割合

平成28年度にスポーツ庁が行った「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」によると、中学2年生の約9割近くが何らかの部活に所属していました。

特に運動部の活動への参加率は男子では75%近く、女子は50%以上にのぼりました。

出典:運動部活動の現状について|スポーツ庁
参照:https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/013_index/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2017/08/17/1386194_02.pdf

高校生の加入割合

高校生の場合、全体の約7割が何らかの部活に所属していると言われています。

運動部へは男子の場合50%程度、女子の場合は25%程度が参加しています。

出典:運動部活動の現状について|スポーツ庁
参照:https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/013_index/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2017/08/17/1386194_02.pdf

部活動における様々な問題点5つ

日本は部活動が盛んで全国大会も多く行われています。しかし一方で、部活動に熱心なあまり様々な問題も起きているのが現状です。

例えば、部活動の活動時間の長さから、顧問の教員の勤務時間の長さや生徒たちへの負担などが問題視されています。ここでは生徒や保護者、教員、学校それぞれの立場から見た部活動についての問題点を説明します。

1:部活動に対する生徒側の悩み

部活動に対する生徒側の悩みとしては、過剰な部活動により毎日が忙しくなり過ぎ、休息が十分とれず、健康や学業などに影響を及ぼす、ということがあります。

中学生は成長期にあたるため、十分な休息はとても重要です。そのためには、朝練を行わない曜日を作る、週に2日以上部活動を行わない日を作る、などの取り組みが必要となります。

学業と部活動の両立ができない

部活動、特に運動部に所属している生徒の場合、朝早くに朝練があり、授業を受け、放課後部活動をし、夜に塾へ行くなど、とても忙しいスケジュールになることが多いです。

そのため、十分に休息を取ることができず、学業にも身が入らない状況があります。過剰な部活動により長時間拘束されることが続くと、学業との両立が難しくなります。

2:部活動に対する教員側の悩み

教員の側にも、部活動のために休日も勤務になり休息が取れない、経験の無い部活動の顧問になってしまい不安があるなど、部活動に対する悩みがあります。

それらを解決するためには、ひとつの部活動に複数の顧問を配置する、外部からの手を借りるなどの対策が必要となります。

思うような指導ができない

学校によっては、そのスポーツの経験が無い教員が部活動の顧問になる場合があります。この場合、教員の側も思うように指導ができず技術面の不安を抱えたまま顧問をすることになります。

学校側も、指導経験がある教員をできるだけ配置するつもりでいますが、小規模校など人手が少ない学校では、どうしても思うようにいかないことが多いです。

この場合は外部から専門の講師などを配置して、顧問の負担を軽くする必要があります。

心身の疲労や休息不足がある

本来、教員の時間外勤務は禁止されています。しかし部活動の顧問になると、朝練や土日の練習、試合などで時間外勤務を行っているのが現状です。

自治体や学校によっては休みに対して規則を設けているところもありますが、部の事情や学校の事情によっては休みが取りにくいことも多いです。

もともと日本の教員は勤務時間が長すぎると言われています。そのため、教員が休日に休むことができないと、休息不足や心身の疲労などへつながります。

3:部活動に対する学校側の悩み

社会や経済等の変化によって、教育に関わる問題は複雑・多様化しており、学校だけでは解決することが難しい課題も増えてきました。

部活動における外部の人材の活用も進んではいますが、少子化が進む中、教員への負担や人材不足に悩んでいる学校は多いです。

学校側としては、教員の人手不足が続く中、部活動の顧問が学校にとって大きな負担になっており、地域や学校によっては部活動の存続が難しくなっているところもあります。

学校の小規模化に伴う教員数減少による練習・引率等の負担の増加

部活動における教員の負担を軽減するため、外部指導員の活用が進められてきました。

しかし、部活動中に事故が起きた際における責任の所在等の問題から、外部指導者だけでは大会への引率ができず、顧問である教員が引率を行う必要があります。

少子化などの影響で学校の規模が小さくなり教員の数が減らされる中、こういった練習や引率などの負担は大きくなっています。

4:部活動での死亡事故の懸念

部活動における死亡事故に対しての懸念もあります。

学校における事故に関して、小学校では体育中・または課外活動中の事故が90%以上を占め運動部活中の事故は3%程度です。しかし、中学校では58%、高校では61%が運動部活中の事故であり、事故全体に対する割合が大きくなっています。

例えば、学校柔道では今までにいくつも死亡事故が起きています。特に初心者である、中学1年生や高校1年生に事故が多いです。また、夏場に熱中症で死亡事故が起こったケースもあります。

出典:学校における体育活動中の事故防止について|文部科学省
参照:https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/jyujitsu/__icsFiles/afieldfile/2016/06/23/1323968_1.pdf

5:顧問教員による暴力の懸念

顧問の教員による暴力も懸念の材料です。

過去には、顧問からの暴力により生徒が自殺に追い込まれたという事件もありました。この場合は顧問が刑事事件で起訴され有罪になるという事態にまで発展しています。

部活動の問題点における国と地方自治体の対応

部活動における問題を改善するために、国や地方自治体でも様々な対応が取られています。

自治体によっては部活動の設置や運営に関する独自のルールを作成したり、部活動の指導をインストラクターなど民間の指導員へ移行しているところや、保護者の負担を減らすための取り組みを行ったり、朝練や夏休みの部活の禁止を決めた自治体もあります。

しかし、これらの政策に関しては、財源や実効性などに問題が残っており、賛否が分かれているのが現状です。

部活動の問題点における国の対応

独自のルールを決める地方自治体もある中、国でも部活動の現状について問題視して来ました。

国は、部活動が体力や技能の向上以外にも、異年齢や生徒同士、教師と生徒などとの人間関係の構築、学習意欲の向上、自己肯定感、責任感、連帯感などを学ぶ場として、教育的意義が大きいものだとしています。

部活動の存続のため、運動部活動のあり方に関して抜本的な改革に取り組む必要があるとして、国は部活動に対するガイドラインを作成しました。

部活動に関するガイドラインの作成

部活動における問題に対して、国は部活動に対するガイドラインを2018年3月に作成しました。

スポーツ庁が作成したガイドラインでは、週に2日は部活動の休養日を作る、平日の活動時間を1日2時間までにする、という指針が示されています。

ガイドラインではその他、適切な指導の実施や地域との連携などについての方針も示しています。

出典:運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン|スポーツ庁
参照:https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/013_index/toushin/__icsFiles/afieldfile/2018/03/19/1402624_1.pdf

子供を部活動に入部させるときは問題点も把握しておこう

日本における部活動は、練習時間や拘束時間が長く、それが教員や生徒への大きな負担となっています。特に少子化が進む中、経験の無い教員が顧問になるなど人材不足も問題になっています。

部活動の問題については長い間議論されており、国や自治体も対応に乗り出していますが、外部指導者や練習場所・財源の確保など、様々な問題も残っています。

子どもを部活動に入部させる際には、こういった問題点も事前に把握しておきましょう。

しかし、部活動は、体力や技術、知識の向上を図るだけでなく、人間関係の構築や責任感・連帯感が感じられるなど教育的意義も大きな活動です。新しい部活動のあり方を考え、改革することによって子どもが好きなことに打ち込める環境を作りましょう。

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