プログラミング教育の子供へのメリットは?必修化について知っておきたいこと

2020年から小学校でプログラミング教育が必修化され、教育機関では様々な取り組みやカリキュラムが行われています。プログラミング教育は課題もありますが、プログラミング的思考や情報活用能力を向上させるなどのメリットもあり、子供にとって必要な教育となっています。

プログラミング教育の子供へのメリットは?必修化について知っておきたいこと

プログラミング教育市場はどのくらい?

2021年のプログラミング教育市場は約175億7,900万円となっており、プログラミング教育が導入され始めた2018年と比較するとおよそ197%増加という状態です。

少子化の影響を受けている中でも子供向けのプログラミング教育市場は成長し続けており、2025年には約400億円に達するのではないかと想定されています。

このようにプログラミング教育市場が成長し続けている背景には、プログラミング教育の必修化の影響が大きいです。さらに2024年度には大学入学共通テストにプログラミングを含む情報が採用されたこともあり、今後の成長が予測できます。

出典:コロナ禍でも市場規模は125%成長の175億円!プログラミング教育ポータル「コエテコ byGMO」×船井総研「2021年 子ども向けプログラミング教育市場調査」を実施~4年後の2025年には400億円に市場拡大と予測~|GMOメディア株式会社
参照:https://www.gmo.jp/news/article/7268/

プログラミング教育への教育機関の取り組み状況

2020年からプログラミング教育が必修化され、文部科学省ではそれに伴って市町村や教育委員会などに対してどのような取り組みを実施しているのか状況を調査しています。

この結果によると、2019年11月時点で約7割から9割の教育委員会で取り組みが実施されている状況だと判明している反面、都道府県など地域によってばらつきがあることも判明しているのです。

それに対して文部科学省側は、準備が不足している自治体や教育委員会には必要に応じてヒアリングやセミナー開催、教員研修用の教材や情報などを提供しています。

これによって既に必修化している現状では、ほとんどの小学校で授業を通してタブレットやパソコンを利用したプログラミング教育が取り組まれているのです。

出典:市町村教育委員会における小学校プログラミング教育に関する取組状況等調査|文部科学省
参照:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00218.html

プログラミング教育の必修化について知っておきたいポイント3つ

プログラミング教育の必修化によって、小学生の教育環境は大きな変化を迎えました。このため小学生の子供を持つ保護者も、プログラミング教育がどのようなものなのか理解し、対応できるようにしておかなければいけません。

中にはイメージや噂から誤解されている部分もあるため、まずは学習指導要領などの正しい知識を身につけておくことが大切です。

1:必修化における学習指導要領とその分類とは

プログラミング教育の必修化における新しい学習指導要領は、情報活用能力を言語能力同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置つけることとされています。

これによってプログラミング教育で様々なプログラミングを体験し、その中でコンピュータに意図した処理を行わせるうえで必要な理論的思考力を身につけさせるための学習時間を、計画的に実施することを明記しているのです。

さらにプログラミング学習の分類はAからDまである分類の中で、主にC分類に属することになります。これは教育課程内で各教科等とは別に実施するもので、プログラミングや情報技術を楽しく学び、気づきやプログラミング的な思考を育成する狙いがあるのです。

出典:平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説)|文部科学省
参照:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384661.htm

2:プログラミング教育が必修化された時期

小学校でのプログラミング教育の必修化は、全国一律で2020年4月1日から実施されています。

コロナ禍の影響を受けていたものの、逆にそれがリモートによる授業などを通じた良い教材となった一面もあり、様々なプログラミング教育の取り組みが実施されているのです。

なお2021年からは中学校、2022年からは高等学校でもプログラミングの要素が増加または必修化される予定となっています。

出典:はじめに~なぜ小学校にプログラミング教育を導入するのか~|文部科学省
参照:https://www.mext.go.jp/content/20200218-mxt_jogai02-100003171_003.pdf

3:プログラミング教育必修化への誤解

プログラミング教育が必修化されたものの、具体的なことがよくわかっていない人たちの中には勘違いや誤解を持っている人も少なくありません。

これはプログラミング教育という言葉だけが独り歩きをしてしまったことが要因だとされており、必修化の一言でさらに誤解を加速させたのではないかと考えられているのです。

ここからは、プログラミング教育の必修化に対するよくある誤解を2つ解説します。

専門の科目が設けられているわけではない

まずよく見受けられる誤解の一つに、「プログラミング」という専門の科目が設けられる、というものがあります。

実は今回の必修化は、国語や算数のような学科の中にプログラミングという学科が追加されるのではなく、理科や算数、総合学習などの一部の授業の中にプログラミング教育が組み込まれるという形なのです。

これは学習指導要領にも記載されているように、あくまで小学校の教育では「プログラミング的な思考を育成すること」が狙いとなっており、プログラミングの知識や技術を身につけることを目的としていないところが理由になります。

具体的な学年・授業内容は決まっていない

必修化に伴って変更された学習指導要領によると、プログラミング教育は主に6年生の理科や5年生の算数、そして総合学習内で行うと例示されています。

ただこれはあくまでも例示であり、具体的にどの学年でどのような授業内容を実施するのかは決まっていません。プログラミング教育に使用する教材も文部科学省側が指定していないので、これらのポイントは学校側が判断して実施することになります。

プログラミング教育の子供へのメリット4つ

プログラミング教育が必修化したことにより、全ての子供たちが平等にプログラミング教育の恩恵やメリットを受けられるようになりました。

ただ「プログラミング教育が必修化した」、「将来子供たちに重要な教育となる」と言われただけでは、そのメリットがよく理解できないという人も多いです。

特に今の保護者世代の多くはプログラミング教育を受けていないため、まずはそのメリットを理解し、教育の必要性やどのような能力を伸ばせるのかを把握する必要があります。

1:プログラミング的思考の向上

ここでいうプログラミング的思考とは、いわゆるプログラミング言語に関する思考ではなく、物事をあるべきことと手順の2つで考えられる思考のことを指します。

つまりプログラミング的思考が向上するというのは、段取りを考えて物事を効率よくこなせる思考が向上するという意味になるのです。

これは普段の生活でも応用できる思考なので、普段なかなか効率よく、段取り良く動けないという子供にとっては大きなメリットとなる思考だと言えます。

2:情報活用能力の向上

情報活用能力とは、文部科学省では「情報及び情報手段を主体的に選択し活用していくための個人の基礎的資質」としています。

分かりやすく言えば、問題を解決または問題点を明確にするために、情報そのものや情報技術を活用するための能力です。

様々な情報が溢れている情報社会だからこそ、プログラミング教育を通して情報活用能力を向上させることで、子供たちが自ら問題に立ち向かい、解決するための力を養えるようになるところがメリットとなっています。

3:コンピュータの働きを社会づくりに役立てる意欲を養える

ほかにも、コンピュータの働きを知ることで社会づくりに役立つ意欲を養える、というメリットも挙げられています。

子供たちの身の回りや生活する中には様々なコンピュータやプログラムに関連するものが溢れており、プログラミング教育を通じてそれらの働きや仕組みを知ることができます。

このように身近にあるコンピュータやプログラミングの働きをすることで、将来的に社会づくりに役立てたい、自分たちで作り出したいという意欲を養うきっかけを作れます。

4:算数での学習内容への理解も深まる

プログラミング教育は様々な学習内容への理解を深めるために用いられることになり、その中でも特に注目されているのが算数です。

算数の授業でのプログラミングは、主に図形を記述するというものが新たに導入されます。この時プログラミングの動きを理解することで、図形の性質も理解できるようになり、答えを導き出せるのです。

このようにプログラミングを通して算数を学習することで、数式や図式などの性質そのものに対する理解を深めやすくなります。

プログラミング教育の内容事例4つ

2020年にプログラミング教育が必修化されてから、各小学校では様々なプログラミング教育が実践されています。

実際にどのような教育が実践されているのかを知っておくことで、子供たちの受けているプログラミング教育に興味やイメージを持ちやすくなるでしょう。

ここからは、実際のプログラミング教育の内容事例について4つ紹介します。

出典:小学校プログラミング教育指導事例集|文部科学省
参照:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_1375607.html

1:アンプラグドプログラミングを取り入れた授業

茨城県つくば市にある小学校では、アンプラグドプログラミングを取り入れた授業を低学年から実施しています。

アンプラグドプログラミングは、カードやボードゲームなどのコンピュータを用いずに行われるプログラミング学習です。

紹介されている事例としては、歯磨きの仕方をワークシートに順序だてて記述していき、命令ゲームで実際に相手に実行してもらうことでプログラミングを体験する、という内容が実施されています。

このようにアンプラグドプログラミングは、ゲーム感覚でプログラミング的思考を身につけられ、低学年でも取り組みやすい授業設計が可能です。

2:ロボットを活用した学習

ロボットを活用したプログラミング学習は海外でも早くから導入され、日本でもいくつかの事例が見受けられます。

例えば身近なロボットについて調べてどのような働きをしているのかを知る、オリジナルのロボットを制作するなど、その事例は多岐にわたります。

低学年向けには、直接ロボットを使うのではなく、自分たちをロボットに見立てたゲームを行うことでプログラミング的な思考を養うというものもあり、子供でも取り組みやすい学習内容として好まれているところが魅力です。

3:情報技術の活用事例や具体的な仕組みから学ぶ授業

実際にインターネットなどの情報技術を活用した事例や、具体的な仕組みからプログラミング的思考を学べる授業を実践しているところもあります。

とある小学校では、身近なサービスの一つである宅配についてインターネットで事前に情報を集めて学習させ、後日プログラミングソフトを使ってスライドを作成させるという授業を行ったのです。

この授業では情報技術を実際に活用させ、宅配業の具体的な仕組みを理解させることでプログラミング的な思考を学習できています。

さらにプログラミングソフトを使ってスライドを作成することで、技術面でも学習できているという事例です。

4:AIの画像認識技術を活用した社会問題の解決

さらにプログラミング教育の事例の中には、AIの画像認識技術を活用したものもいくつか挙げられています。

これはAIを用いたプログラミングソフトを使って、取り込んだ画像をプログラミングするとともに、提示された社会問題をどのように解決するのか議論するという内容です。

小学校だけではなく中学校でも実施された事例として、手描きのテストの記述を自動採点できるのか、果物の画像を取り込んで品種や鮮度を判別できるのか、などの問題を議論、解決しているものが見受けられます。

こうすることでただ画像をAIに認識させる技術を身につけられるだけではなく、その技術をどのように問題解決に活用できるのかという思考を育成させられるのです。

2022年からプログラミング教育として高校で必修化される科目とは

2020年に小学校で必修化されたプログラミング教育は、2022年には高校でも必修化されます。ただ高校の場合は、「情報I」という共通必須科目と、「情報Ⅱ」という選択科目が新設される形になるところが特徴です。

「情報I」ではプログラミングだけではなく、情報セキュリティを含んだネットワークやデータベースなどの基礎などについて学びます。その後「情報Ⅱ」を選択した場合は、プログラミングなどについてさらに発展的な学習が可能です。

このプログラミング教育によって、高校生はプログラミング、ネットワーク、データベースに関する基礎的な知識や技術を身につけることになります。

出典:小学校プログラミング教育に関する概要資料|文部科学省
参照:https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/21/1416331_001.pdf

プログラミング教育の教育現場での課題3つ

プログラミング教育が導入された小学校などの教育現場では、まだまだ多くの課題が残されています。

これは導入されてからまだ実績を積み重ねている段階であり、現場も手探り状態で教育を実施していることが課題を生み出す要因となっているのです。

このため子供たちを取り巻くプログラミングの教育現場が抱える課題を理解し、今後どのように改善されていくのかを観察していく必要があります。

1:学習環境を整えるための準備時間の確保

まず挙げられている課題として、学習環境を整えるための準備時間が確保できていないという点があります。

プログラミング教育を実施するためには、ICT環境を整えることが重要です。ただ現状としては地域によってばらつきがあり、導入が進んでいるところでも1人1台のパソコンを確保できていないところがあります。

さらに準備するための費用面の問題もあり、時間と費用の両方を確保するための手段や対策が大きな課題となっているのです。

2:カリキュラムの組み方や教材選びへの対応

また、学習指導要領でプログラミング教育の方針などは決まっているものの、実際のカリキュラムの組み方や教材選びが学校や自治体任せになっている点も課題です。

学校や教員側がプログラミングに関する知識を持っていないところも多く、どのようなカリキュラムに取り組めばいいのか、教材はどのようなものがあって何を選べばいいのか、前例がないからこそ手探り状態となっています。

学校や自治体ごとに統一されていないので、教員だけではなく子供も転勤や転校をした際、その都度異なるカリキュラムや教材に翻弄されかねないという問題もあり、ICT環境の整備という課題に含まれているのです。

3:教員自体のITへの理解

さらに大きな課題となっているのが、教員自体のITへの理解や教育が不十分であるという点です。

小学校でのプログラミング教育は、プログラミング的思考を学習させるものなので、プログラミングの技術を必要とはしていません。それでも指導する側がプログラミング的思考について理解が追い付かないまま子供たちに教えるというのは、簡単なことではないのです。

このため教員の育成時間が確保できない、自分がきちんと指導できるのかなど、教員側が抱えている不安の大きさは、解決するべき問題として考えられています。

プログラミング教育の必要性と子供へのメリットを理解しましょう

2020年から始まった小学校でのプログラミング教育は、ITなどの教材を活用してプログラミング的思考や情報活用能力を向上させることを目的としています。

これらの目的は情報社会で役立てられるのはもちろん、日常生活をはじめとした様々な場面で必要な思考や能力を育成することが可能です。

そのため子供たちにとってプログラミング教育がなぜ必要なのか、どのように活用していくものなのかを保護者はきちんと理解し、学習できるようにサポートしていく必要があるでしょう。

出典:はじめに~なぜ小学校にプログラミング教育を導入するのか~|文部科学省
参照:https://www.mext.go.jp/content/20200218-mxt_jogai02-100003171_003.pdf

初回公開日:2021年10月05日

更新日:2021年10月05日

記載されている内容は2021年10月05日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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